プラトン・哲学早わかり

プラトン(紀元前428頃~紀元前347頃)は古代ギリシアの哲学者。ソクラテスやアリストテレスと並んでよく知られており、哲学の歴史を代表する哲学者のひとりです。

プラトンにはイデア論や有名な「洞窟の比喩」がありますが、それらがあまりにブッ飛んだ内容なので、プラトンはただの形而上学者と見なされることもしばしばあります。

確かにプラトンに形而上学的な側面があることのは確かです。私たちは死後、肉体から抜けだた魂となって物事の「イデア」を観て取ることができるという言い方は、現在の水準から評価すればナンセンスかもしれません。しかし時代性を考えると、そうした欠点よりも、むしろ「なるほど確かに」とうならせる議論、たとえば恋愛論における本質の取り出し方を評価するべきだと思います。

恋愛論は『饗宴』『パイドロス』に、イデア論は『パイドン』にあります。

なおプラトンの作品は対話形式で書かれており、読みやすいのも特徴のひとつです。表現の難解さが哲学の本質ではないということが、プラトンを読むとよく理解できます。

政治や恋愛、言語、善と正義などの問題に正面から取り組み、それと格闘する姿が以後の哲学に与えた影響は、計り知れないほど大きいと言っていいでしょう。

主な著作

プラトンは数多くの作品を残していますが、主に次の著作がよく知られています。

  • 『饗宴』
  • 『ソクラテスの弁明』
  • 『パイドン』
  • 『国家』
  • 『パイドロス』
  • 『クラテュロス』
  • 『テアイテトス』

初期対話篇と呼ばれるもの(『リュシス』、『カルミデス』、『クリトン』など)は短く、他の著作と比べると気楽に読めるので、まずはここから入るのがオススメです。

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