勉強の効率アップ!レジュメを作ってみよう

哲学を専門的に勉強したいと少しでも思っているなら、できるだけ早く教養をつけておくのが大事です。そのためには自力で哲学書を読んで勉強を進めることになると思いますが、その際に並行して自分用のレジュメを作ると、勉強の効率の大幅アップが望めます。

なぜ作る?

理由は単純です。哲学書を読むのも他の勉強とまったく同じように、復習せず一度読んだきりにしておくと、すぐに忘れてしまうからです。よほど印象深い議論なら違うかもしれませんが、たいていの哲学書は内容が細かく、かつ普段聞かないようなテーマについて論じているので、なおさら忘れやすくなっています。

レジュメを作っておくと、気になった箇所を後から確認し直すことができます。自分の文章で書いてあるので、読み返したときに「あ、そうだったな」とすぐに思い返せます(中身を一切忘れてしまっているなら多少時間がかかるかもしれませんが)。もしレジュメがないと、場合によっては最初から読み直さないと思い出せないことがありますので、あまり効率がいいとは言えません。

どう作る?

結局のところは好きなように作ればいいのですが、私自身や周りのひとの経験を合わせると、大体次のようにまとめることができます。

  • パソコンで作る
  • 本文からの引用を入れる
  • 簡単な要約文を冒頭に置いておく(お好みで)

確かに手書きのほうが記憶に残りやすそうな気がしますが、後から探すのがとても面倒です。ノートにぎっしり書いてしまうと後で書き足したり修正したりするのが難しくなることもあるので、よほどのこだわりがなければパソコンで作るのがいいと思います。キーボードをつなげばスマートフォンやタブレットで作れなくもないのでしょうが…。

また、本文からの引用をレジュメのなかに取り込んでおくと、その箇所を後から再利用できます。いちいち本を開いて「えーとどこだっけ」と探すのは時間がもったいないので、積極的に引用してしまいましょう。その際には著者名や訳者名、本の出版元や出版年などの情報も一緒に書いておくと、後から調べ直さなくていいのでラクです。

読みながら重要な箇所にチェックを付けておき、レジュメを作る際にその箇所をパソコンに取り込みます。手入力でもいいですが、時間がかかりますし、とにかく手が疲れます。なので私はスキャナを使って作ることにしています。スキャナを使うことで、手入力のときと比べて誤字と所要時間をともに減らすことができました。

スキャナを買う際にはOCRソフトが付属しているかどうか確認するのを忘れないようにしてください!これが無いとパソコンに画像データしか取り込めず、文字テータに起こすことができないので、スキャナを使う意味がありません。OCRソフトはスキャナに付属している場合とそうでない場合があるので要注意です。

レジュメの中身を忘れるのが心配なら、記憶が新鮮なうちに簡単な要約文を1~2段落、レジュメの冒頭に置いておくのもアリだと思います。中身をパッと思い出せればいいわけですから、これが一番時間の短縮につながるのかなと思います。あくまでもお好みです。

具体例を見せてくれませんか?

一番上に作成日、次に題名とその他の情報(原著のタイトルと出版社も含めて)、章のタイトル、本文の順にしています。本文に関しては重要な箇所を引用し、その上にコメントを置いています。コメントを追うだけで中身を思い出せるのでこのやり方にしています。ただ、くどいようですが、レジュメの作り方に「正解」があるわけではありません。色々試して自分の好きなようにカスタマイズしてみてくださいね。

定期的に見直す

レジュメも作りっぱなしだとすぐ忘れてしまいます。一回読んであとは放置、ではなく、定期的に読み直すことをおすすめします。最初は分からなかった箇所でも、レジュメがたまってくるとだんだん分かってくることがあります。

たとえば私の場合、ヘーゲルの『法の哲学』(とくに緒論)を初めて読んだとき、何を言っているのか全く理解できませんでした。私の理解力の問題なのか、それともヘーゲルの書き方の問題なのかは分かりませんが、テーマをつかむことさえ難しかったことをよく覚えています。

ただその後、カントやホッブズのレジュメを作っていくなかで、その時代の哲学では何が問題とされていたのかについて少しずつ分かるようになってきました。そこでヘーゲルのレジュメを見直すと「そうかそういうことか!」と、ヘーゲルの主張の趣旨を受け止めることができた強い感覚がありました。もしレジュメを読み直さなければ、いまもモヤモヤし続けていたんじゃないかな、と思っています。

その他

以下、細かいポイントについて触れておきます。

  • どこでも見られるようにする
  • バックアップは忘れずに
  • ほどほどに

DropboxEvernoteなどに保存しておけば、いつでもレジュメを見ることができます。これは聞いた話ですが、学会発表で質問を受けたときに、ちょっと待ってください今レジュメを確認しますから、と言って説得力をもって答えることができたケースもあるみたいです。ローカルに保存しておけば電波の届かないところでも確認できます。便利なモノは使い倒しましょう。

バックアップは必須です。レジュメは大事な資産ですから、間違って削除することのないように注意してください。Dropboxなら変更履歴も同期されるので、ローカルで削除してしまっても回復できますが、慌てて変更履歴も消してしまわないように気をつけてくださいね。

レジュメは理解のための補助にすぎません。レジュメに力を入れるのはいいですが、必要以上に細かくするのは本末転倒です。一切レジュメを作らないよりはマシだと思いますが、詳細であればあるほどいいわけでもありません。労力と成果のバランスを考えて、重要な箇所でなければバッサリとカットすることも心がけながら作ってみてください。