「現在観測」に文章を書きました

KKベストセラーズのウェブメディア「BEST T!MES」の「現在観測」というコーナーに文章を書きました。タイトルは「今、危機にある哲学を救う」です。『読まずに死ねない哲学名著50冊』を手に取ってくれた担当の方から声をかけてもらいました。

「真理」が存在しないという暗黙の確信が、無数の独断論と懐疑論を生み出していること。それによって、哲学ブームの見た目とは裏腹に、普遍性を目がける哲学の「魂」とも呼ぶべきものが次第に死につつあること。そこで哲学は、普遍的な相互了解を客観性の理念として立て直さなければならず、事実、哲学の歴史はそうしたダイナミズムとして展開してきたということ。こうしたことを、フッサールの『現象学の理念』を解説したときの洞察を踏まえて書きました。2000字強なので、そんなに時間がかからず読めると思います。

哲学を救う、なんていうと大げさかもしれませんが、普遍性への懐疑とシニシズム(冷笑)が感受性のレベルにまで浸透しつつある現在では、そうした志がなければ何のために哲学をやっているのか、という話になってしまいます。いわゆる知識人として知られているひとたちにも、すでに諦めてしまっているひとたちが山といます。彼らへの対抗意識があるわけではありませんが、図に乗らせておくわけにもいきません。なぜならナイーブな理想論と懐疑論を駆逐することが、哲学を立て直す第一歩だからです。