マキャヴェリ『君主論』を超コンパクトに要約する
マキャヴェリの『君主論』をコンパクトにまとめました。メディチ家がイタリアを統治することへの期待をもって著された著作。
詳細解説はこちらで行いました → マキャヴェリ『君主論』を解読する
君主の力量と運が重要
世襲制では君主はそれまでの慣例に従えばいいので、国家統治は簡単。問題はこれから新たに国家を作り、君主として君臨する場合。
どうすればいいだろうか?
新しい君主国家には従うべき慣例がない。そこで重要となるのは、君主の力量virtùと運fortunaだ。この2つがあれば統治はいくらか簡単になるはず。
ちなみに教会国家の場合、国家がキリスト教によって強固に支えられているので、手に入れてしまえば後はラクだ。
君主国家の土台は法律と武力(軍隊)
国家の土台は2つ。
- よい法律
- よい武力(軍隊)
すべての国にとって重要な土台となるのは、よい法律とよい武力とである。よい武力をもたぬところに、よい法律のありうるはずがなく、よい武力があって、はじめてよい法律がありうるものである。
よい武力=自国軍
軍隊には自国軍、傭兵軍、外国からの援軍、混成軍などがある。
よい武力は自国軍。外国援軍、傭兵軍は全然ダメ。経験的に見れば、自国軍をもつ共和国は栄えてきたが、傭兵軍はむしろ自国に害を与えるだけに終わった。
君主の職務は武力に関わるものだけ
君主は軍事に関わる事柄だけを職務とするべき。これが統治者に属する唯一の任務。他の趣味にかかずらっているようでは国を失うだろう。
君主は悪徳であっても行使しなければならないときがある
君主は生き残るためであれば、悪徳を行使する能力を身につけ、これを臨機応変に行使する必要がある。君主は悪徳であっても行使しなければならない場合がある。
一つの悪徳を行使しなくては、自国の存亡にかかわるという容易ならぬばあいには、汚名などかまわずに受けるがよい。というのは、全般的によく考えてみれば、たとえ美徳のようにみえることでも、これを行なっていくうちに自分の破滅に通ずることがあり、他方、一見、悪徳のようにみえても、これを行なうことによって、自分の安全と繁栄とがもたらされるばあいがあるからである。
君主の振るまい方
- ケチと思われても気にするな
- だんだん歳入が豊かになり、民衆に負担をかけずに戦争できることが知られるようになると、いい評判を得られるはず
- 恐れられているほうが安全
- 信義ある人間と「思われている」ことが重要
- いつでもそういう態度は捨てられるようにしておくこと
- 戦争に勝っている間は大衆からよい評価が得られる
- その間は反乱を気にしなくていい
- 尊敬されるために白黒ハッキリした方針を示すこと
など。
運命を打ちのめすほどの勢いで
この世は運命と神に支配されている。人間がどうあがいても、この世の進路は変えられない。
とはいえ、運命が人間の活動に影響を及すのと同じくらい、人間の活動も運命に影響を及ぼしている。
運命は変化する。この変化に応じて臨機応変に、果断に進むのがいいだろう。
運命の女神はひとりの女性だ。彼女を征服するには、打ちのめしたり突き飛ばしたりする必要がある。そういう者にこそ、運命は従順になるようだからだ。
私は、用意周到であるよりはむしろ果断に進むほうがよいと考えている。なぜなら、運命の神は女神であるから、彼女を征服しようとすれば、うちのめしたり、突きとばしたりすることが必要である。運命は、冷静な行き方をする者より、こんな人たちに従順になるようである。