ガダマー『真理と方法』チートシート
ドイツの哲学者ハンス・ゲオルグ・ガダマー(1900年~2002年)の主著『真理と方法』のチートシートです。議論の全体像を思い出すのに使えると思います。
この解説は『真理と方法』を(それなりにでも)通読したひとを対象としています。本書をまだ読んでいないひとは、まず読んでみるか、詳細解説で内容を確認してみてください。
詳細解説はこちらで行いました → ガダマー『真理と方法』を解読する
- 伝承Überlieferung(=伝統 Tradition)
- 伝承と伝統は同じもの(ただの言いかえ)
- 伝承のバリエーション
- 教養
- 権威
- 古典
- 理解Verstehen
- 歴史的(=伝承を前提としている)
- 先入見Vorurteilが条件(先入見のうちに伝承が潜んでいるので)
- 言語によって行われる
- 適用Applikation
- 理解のこと
- 過去の伝承を現在へと受け継ぎ、それを用いて理解するというニュアンス
- 地平融合Horizontverschmelzung
- フュージョン・オブ・ホライズン!
- 伝承を受け継いだ理解による、過去と現在の“対話”
- 作用史Wirkungsgeschichte
- 地平融合の歴史的な過程
- 歴史は事象の自然科学的・物理的な連鎖ではない、というニュアンス
- 作用史的意識=歴史理解は地平融合のひとつの過程であることの自覚
- 歴史意識(ヘーゲル)に対して
- 反カント・反ヘーゲル・反啓蒙思想
- 理性で歴史や芸術を理解できると考えた思い上がった一味
真の解釈は歴史的なもの。解釈は、本質的に歴史的な人間存在が行うので、当然歴史的。
解釈は理解であり、理解は適用。理解とは、伝承を教養や先入見という形で受け継ぎ、それを現在の地平で用いる(=適用する)こと。そこで起きているのが、過去と現在の「地平融合」。フュージョン・オブ・ホライズン。
理解は個人の理性が単独で行えるようなものではない。伝承は確かに彼の理解に影響を及ぼしているだけでなく、その条件でもある!
伝承の適用の連鎖が作用史。作用史は地平融合の連鎖でもある。歴史が地平融合の連鎖であることを踏まえつつ歴史を理解しようとする立場が作用史的意識。ヘーゲル的歴史意識は歴史の全体を捉えられると考えた点で誤っている。
理解は言語的。伝承も言語的。造形芸術や音楽の鑑賞も、言語的な解釈を下敷きにしている。
言語は記号のマッピング体系ではない。言語を操作可能な人工物と考えるのは自然科学の態度。言語が思考の具体化ということを捉えていた点で、プラトンよりもキリスト教の言語観(三位一体説)が優れている。
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